ハリポタ最終巻、読了。"Harry Potter and the Deathly Hallows" by J. K. Rowling

Harry Potter and the Deathly Hallows
思い入れのあるシリーズなので、完結して感無量。思えば渡米後に、何か読めそうなものはないか児童書はどうだろかと思うも、和書の翻訳児童書読みではなかった私は本の題名を知らず、『とりあえずハリポタ』と、4冊のPBのセットを購入(確か$20くらいと安かった)、辞書をひきひき読み始めたものの全然進まず、この調子だとアメリカにいる間にこの4冊読みきれないよ、本代が安くていいけどね、と嘯いたもんでしたっけ。その後、辞書をほとんど使わずに読み進むのに慣れましたが、ある程度厚さのある本を背伸びして読めるようになったのも、このシリーズのお陰。また、audio bookという、めくるめく魅惑の世界の導入になってくれたのも、このシリーズ。そう言えば、折角UK版を読んだので、Stephen Fry の朗読を聴いてみたいもの。(下火になった頃に図書館で借りよっと。)


と思い出話はさておき。最終巻らしい、総まとめの大団円だったと思います。6巻までの思い出のキャラ達が次から次へと現れ(そして消え(-_-;))、新しい謎とシリーズ通しての謎を解きつつ、最後の戦いに向います。とにかく、「書き切るぞ!」という意気込みというか、これ以上本当に書く気はないのだなあという、最終巻。
ちょっとこれ以上は、ネタばれになるので、下へ。
(!!!以降、ネタばれ含みます!!!)
(但し、粗筋は書いていません。簡単に話を知りたい人はWikipediaでも見てください。)
(あくまで読後の感想なので、ストーリーを知らないと訳分からないかと)
(&結構辛口です(^_^;))


(!!!以降、ネタばれ含みます!!!)


(それでもよければ、白文字で書いたのでカーソルで反転させてください)


(ただ、ブラウザに寄っては、白くなってないかも)



確か前巻もそうだったと思うけども、話の内容に応じて中だるみして読み進みにくくなりましたが、後半の三分の一は勢いがあり、さすがに一気読みして日曜の朝4時に読了を迎えました。(ええ、暇人ですともさ。)
さて、お話としては、ここ数巻で顕著だった、等身大の少年・少女〜青年への成長の物語から、最初の頃の冒険物に回帰したようにも思います。4〜6巻あたりは、思春期のもじもじ・いらいら状態が丁寧に書かれていて、それがどう発展するかと思っていたのですが…、ぶっちゃけて言うと、性を真正面から扱うのではないかと思っていたのですが(最近『仮面の告白』とか読んだせい?(^_^;) やー、やっぱ17歳前後だし極限状況だしこれまでの展開からそう思うじゃないっすか)、ところがどっこい、そこはキレーに避けられて、その分、特に若者達にリアリティがなくなってしまったように思います。『生身』加減が減ったというか。小説じゃなくてあくまで『お話』になった印象。
回帰といえば、最後のシーンも、第一巻目への回帰ですよね。『神話』的になるようにか、シリーズ全7巻で閉じています。最終巻ということもあり、全体の構成に重きを置いたのかな。
とにかく懐かしのキャラが目白押しで、仕方ないんだけど、皆に見せ場を与えすぎて各々の印象が薄くなってる気が。
中だるみ、というのは、最終決戦までの待ちの部分に加えて、相変わらずの意地の張り合い+仲間割れ(これはお約束なので出したのかな)、さらに、「これって指輪じゃん!」という、あるアイテムの特性に、ちょっと読む気が失せそうになりました。まあ、指輪へのオマージュなのかもしれませんが…。
読み終わって、特に最後の部分で思うのは、これは『母と子』の話だということ。とにかく、母は強し、敵方も見方も、わが子のためなら善悪も大儀もなりふりも構わない。大儀に生死をかける子供(男の子)をしっかり育てるのは、実は母親のなりふり構わない愛で、しかもそれが実は悪を倒す根本的な力にもなるという。とにかく、父親の影が薄い! ある意味、非常に現代的だともいえますが…。確か、J.K.Rowlingさんは女手一つで子供を育てながら最初の頃の本を書いてたと思いますが(後で再婚されたんでしたっけか)、そういうことも反映しているのかもしれません。やはり、女性の書いた物語だなあと。どこの家庭も父親はあまり存在感がなく、主要な他の男性キャラというと、爺さんと、かつて母親に恋焦がれたヨソのおっさんだし。
ほぼ2年前(!)に、5巻までの読了状態でのハリポタ予想を日記に書いたのですが見事に外れました(^_^;)。というか、あるポイントでは合っているのですが、深読みしすぎましたね。当時の『Snapeの中に父親がなんらかの形で入っていて、実はVoldemortがハリーの祖父、最終的に親子で祖父を倒す』というアホ丸出しの発想は、思えば、如何に私が物語を父権的なものとして捉えがちかということでもあるようで(^_^;)。今風じゃなかったですね。ダンナのスターウォーズ好きに影響されたかなあ。
最後に。正直、話の構成としては、ハリーは死んでしまった方が良かったんじゃないかと思いますが、(そりゃ死んで欲しくはないですけど(^_^;))、そしてその結末を用意してたはずだと思いますが、児童書・冒険物の枠を離れず、まとめ上げて終了した感じですね。作者も、これ以上書く気がないくらい書き上げた感じですし、一読者としても、これ以上特に読み続けたい欲望が終わらない終わり方です。(正直、『開いた終わり方』というのが好みなので、この終結っぷりはちょっと残念。)