The Typewriter

"The Typewriter" by Dorothy West(1909-1998)。黒人女性。19歳の時に書いたこの小説が文学賞を受賞し広く認められ、Halem Renaissanceという1920〜30年代のアフリカンアメリカンによる人種差別撤廃を掲げた文学的なグループに参加。19歳で中年男性の疲れと諦め、つかの間の夢を細かく描写。哀れが高じてコミカルですらある。小説の構造も凝っている。私の英語力では一回読んで把握しきれなかった部分も多い。とにかく、早熟の天才。
そのほか、関係資料(Halem Renaissance, ebonic, Martha's Vineyard)。特に彼女の家のあった島、Martha's Vineyard(ハワイについでアメリカで2番目に大きい)が興味深い。初期に聾唖者が多く住み着き、何台かの婚姻の結果、一時期はそこで生まれる4人に一人が聾唖となった。ここで作られた手話のMVSLが今のアメリカの手話の元の一つになっている。この手話を使えることが島に住むことの必須条件でもあり、聾唖であることはハンディキャップとはみなされなかったそうである。その後島の外から来る人口が増えることで、20世紀半ばにはVineyard島の最後の遺伝的聾唖者が亡くなったそうです。