『金閣寺』三島由紀夫

金閣寺 (新潮文庫)
読了して結構経つのですが、記録ということで…。実際にあった、僧侶による金閣寺放火事件に題材をとって書かれている。またも、想像力をかきたてられるような描写・比喩、粘着質の思考の積み重ね…と、みっちり織られた美しいタペストリーのよう。、その分厚く重いタペストリーを真夏に被せられたような感じで、ちょっと疲れました。やっぱ、もっと風通しのいいものが読みたいなあ。
公案(禅問答)の『南泉斬猫』や、『臨済録』からの「仏に逢うては仏を殺し、…」のインパクトある文句などが、話の中でも大きな役割をもっています。この二つ、禅宗をテーマにした本ではよく使われると思ってたら、『金閣寺』へのオマージュだったんでしょうかね。