"Of Mice and Men" by John Steinbeck

Of Mice and Men (Penguin Great Books of the 20th Century)
スタインベックの『二十日鼠と人間』。100ページほどの中篇です。農場で働く日雇い労働者の男達。知恵遅れで子供のような、しかし力と感情を制御できない大男のLennieと、時に苛立ちながらもそんな彼を庇って行動を共にする、頭の切れる小男George。いつか自分の農場を持つことを夢見るも…。
筋立てはもちろん、いい。結末のGerogeの決断に向って、農場での物事のあり方が、やるせなさと緊張感を伴って、細かく積み上げられて行く様子とか。それにもまして、文章が描写が表現が素晴らしい!のです。二人以外の登場人物も魅力的。(特にちょっと不思議な存在感のある Slim の描写には妙に力が入っていて、実際のモデルがいたんじゃないかなあ。)人種や男女による差別が色濃く残る時代、また、力関係が強く反映される農場での集団の生活の中で、それぞれが問題を抱えている。彼らが、自分が話せる相手に自分のことを吐露する様子とか、逆に心を閉ざす描写とか。細かい部分の機微の描き方や表現が本当に素晴らしい。読み終わるのが惜しいくらい。(実際、かなりゆっくりと楽しんで読みました。)
Of Mice and Men (Classics on Cassette)
あああっ、日記に貼る表紙をチェックしてたら、Gary Sinise による朗読発見!!おおお!(この人とマルコビッチが主演の本作の映画を見て号泣したっけ。素晴らしい映画で、10年ほど前に一度見てなお沢山のシーンを覚えていますが、どうにも切な過ぎて、二度と見れない…。そろそろ大丈夫かなあ。)ともかく、そんな人の朗読を見逃してたとは…。さっそく図書館にリクエストしてと。