火星年代記

The Martian Chronicles (The Grand Master Editions)
"The Martian Chronicles" by Ray Bradbury。引き続き、レイ・ブラッドベリの『火星年代記』、読了。
ブラッドベリ自身の朗読を聞きながら。私はカセットを図書館で借りたけども、どうも手に入るのは、今はaudibleからだけらしい。朗読としては決してうまくはない。ブラッドベリは、イントロだけでなくほとんどの短編の前とか後とかにコメントをつけてて、かなりおしゃべり。この短編の発想を得たのは誰それからだとかこういう出来事からだとか、無意識のうちに影響されてたなあとか、今の時代からするとこうは書かないよねとか。短編群は戦後すぐ書かれていて、Hiroshimaについての詩にinspireされたとか、マッカーシズムとか、この時代とアメリカという場所に非常に依存して書かれた本なのだなあとよく分かる。とっても興味深いんだけど、この朗読は、ブラッドベリ好きな人向けですかね。ただ作品を楽しみたい人には、かえって不向きかも。
内容そのものは、古いSFだしアメリカ中心だし、深みはないし、短編としてはルースだと思うし、ブラッドベリの話を聞いても大したこと言わないし(大したこと考えて書いてるわけじゃなさそうだし)(本人と作品の与える印象がずれてますよね)、そんでも、そんな事を超えて別の次元で心を打つパワフルな小説群です。(と思います。)
あくまでSFは極限状態を出すための小道具で、結局人間がどう書かれるかの部分がすごい。と書こうと思ったけど、そんなに凄いかと言えばそうでもない。英語も格調高いとは言えなさそうだし。なんだけど、何かがすごい。生な部分を刺激されるのかなあ。うまく説明できないなあ。ともかく、ブラッドベリは、なんか分からんけど、とにかく私は好きなのです。ってことで。