"Children of Heaven"(邦題：運動靴と赤い金魚）

イラン映画。貧しい一家の兄妹のお話。妹の修理したばかりの（でもぼろぼろの）靴をなくしてしまったお兄ちゃん、責める妹。貧しい生活と父親の怒りを恐れて、新品を買ってくれとはとうてい言い出せない。お兄ちゃんの運動靴を交代で履きあって、どうにかやりすごす日々のなか、新しい靴を手に入れるチャンスが…。
ともかく、この男の子の今にも泣き出しそうな顔が、かわいくていじらしくて仕方がない。（見たら分かります！「ずるいよ！」と言いたくなるくらい。）家庭や学校やモスクの描写やその背後の宗教観、貧富の差の描写や、社会の問題点など、とっても興味深いです。背景の社会の矛盾点と言っても、その中で生きる者たちにとっては全く自然で、むしろ問題のない社会などあるはずもなく、その社会の上に成り立つ人間のドラマや心の動きというのは細かいところまで分かり合えそうな気がする、そんな映画です。（ある意味、どうにも細かく分かりすぎて、この映画って西洋向けに撮られたのかなあとも思ってしまう。アカデミー外国映画賞候補だし。）